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会長挨拶

第17-18期(2006-07年度)

第18回大会を終えて

江原 裕美(帝京大学)

 去る2007年11月24日(土)、多くの参加者を得て、第18回大会(国際学術研討会)が、台北教育大學にて成功裏に開催されました。自由かつ真摯な学術探究と暖かい友情の交流によって充実した大会となりました。開催に向け、一昨年から大変なご努力を払って下さいました翁麗芳大会実行委員長はじめ、台北教育大學国際結婚と子育てセンター、同大学社会科教育学系の先生方、内政部児童局、中華民国社会科課程発展学会の皆様、温かいご支援を下さいました台湾教育部、財団法人交流協会日台交流センターに心より御礼申し上げます。また、開催準備に様々な面からご協力下さいました会員各位、参加者各位にも併せて御礼申し上げます。
 今回の大会は「国際移動と教育-日本と台湾の経験から」をテーマとし、グローバル化の進展に伴う各国社会の変化、それぞれの政府の対応、教育研究のあり方等について、貴重な考察材料がふんだんに提供されました。海外学会での発表や参加は会員にとって有意義な体験となり、今後の学会の発展のためにも大変意味ある機会となったと思います。また、台北縣萬里国民小学、台北市北投小学への学校見学では、実際の教育実践を間近にして大変触発されました。暖かくお迎え下さった両校の関係者に深く感謝申し上げます。
 地球上で異常気象が数多く報告され、温暖化の危機が深刻になっております。しかし金融の不安定状況、石油や穀物等資源の値上がり、中東地域での戦火の継続、その一方での中国やインドなどいくつかの発展途上国の高度成長、米国とロシアでの大統領選挙、など世界の状況は予断を許しません。日本は外においては北朝鮮、中国、韓国、ロシアとそれぞれ難しい問題を抱え、米軍再編の問題もあり、エネルギーや食糧を諸外国に頼る状況にある一方、国内では、少子高齢化問題、格差問題、年金問題、国や地方自治体の財政赤字など多くの問題に直面しています。
 グローバル化の時代、同時に地球的危機が深まりつつある時代において、国際的に教育という事象を考えることがますます重要となっています。今回の大会テーマは、国家のあり方にも関係する大きな問題であり、これをきっかけに、台湾、中国、韓国等、様々な国との研究交流を深めつつ、広く研究成果を発表して、学術団体としての社会的責務を果たすことができるよう、皆様とともに努力を重ねていきたいと思います。本年も会員の皆様のご協力をどうぞ宜しくお願い申し上げます。

日本国際教育学会第17年目を迎えて

江原 裕美(帝京大学)

 日本国際教育学会は第17年目を迎えました。まずは先の11月26日、東北大学での第17回大会が成功を修めましたことを会員の皆様にお知らせし、開催までに大変ご努力下さいました、宮腰英一大会実行委員長、大迫章史事務局長、白幡真紀実行委員初め関係各位に心より御礼申し上げます。秋深まる杜の都仙台で、国際教育の新たな展開を思わせる充実した発表の場を作って下さいましたことは、参加した会員全員にとって非常に有意義な機会となりました。改めて参加協力下さいました東北大学関係者の皆様と各地から駆けつけて下さった会員各位に深く感謝申し上げます。これを機会に、東北大学を中心に、北日本における日本国際教育学会の活動が今後さらに発展しますよう祈念する次第です。
 また、私もこの度第二期目の会長を仰せつかり、責任の重大さに身も引き締まる思いをしております。力不足ではありますが、皆様のご協力を頂きまして、第一期目には懸案でありました学会財政基盤の健全化にある程度のめどを付け、規約の改正を果たし、二十周年に向けての準備として積立を開始、また、公開講演会・研究会の試みを開始致しました。第二期目には、さらなる財政の健全化と規約の整備、中国連絡処との連絡活発化、名簿および新規約集の発行、学会研究活動の活発化、そして、海外大会の成功を目指しております。ちなみに2007年度の大会は11月に台湾の台北教育大学で行う予定です。
 本学会は1993年に中華人民共和国蘇州大学と共催で第4回大会(国際教育研究大会)を開いた実績がありますが、今回は二回目の海外大会ということになります。東アジアにおける学問を通じた相互理解深化・共同体形成に向け、本学会も微力を尽くす機会になればと願っております。台北教育大学の翁麗芳教授も第17回大会にご参加下さり、歓迎の言葉を下さいました。大会の成功を目指して皆様のご参加ご協力をお願い致します。私も第二期目の目標を果たし、諸先輩会員が築いて下さいました学会の美風をさらに確固としたものとするべく、弱輩ながら会長として使命に邁進する所存です。
 地球温暖化、資源の枯渇化初め、環境問題の悪化が一層明確になった地球の中で、豊かさへの大競争が始まっています。様々な争いや殺し合いは止む気配がありません。エコロジカルな思想、質素倹約の文化、異文化を取り入れての近代化、悲惨な戦争からの再起、公害問題の惨禍、様々な経験を持つ日本には、何かできることがあるのではないでしょうか。しかし、グローバル化の大波の中で、多様な情報や人の流れ、異なる文化にどう対峙し、平和で活力ある社会を作り上げていけるのか、まだ展望は明らかになっていません。このような時にあって研究環境も大きく変わりつつある中で、真摯な国際教育探究の場としての本学会を維持発展させ、学術活動を通じた社会貢献を実現していくことはますます重要になってきていると考えます。国際教育のさらなる探究のため、知的刺激と人間的交流の、自由で開かれた場として本学会が一層発展致しますよう、会員の皆様のご参加ご協力を改めて宜しくお願い申し上げます。