会長挨拶
第19-20期(2008-09年度)
20周年記念大会をふりかえって
前田 耕司(早稲田大学)
会員の皆様におかれましては、学期初めで何かとご繁忙な中、全国各地から日本国際教育学会20周年記念大会にご参集いただきまして深く感謝申し上げます。
台湾からは国立曁南国際大学の楊武勲会員をはじめ11名の会員の皆様をお迎えできました。20周年にふさわしい国際的な研究大会になったものと自負しております。また、過日、国立曁南国際大学からは、台湾の学会と共催で国際シンポジウムも視野に入れての研究大会開催のご提案をいただいております。日本国際教育学会の諸活動が国際的にも認知されつつあることの証左といえましょう。
さて、9月12・13日の20周年記念大会の開催に際しましては、大会実行委員長の岡田昭人副会長をはじめ、大会事務局長の中島久朱会員および東京外国語大学関係者には多大なご尽力をいただきました。お陰さまで自由研究で44本の研究発表、課題研究とシンポジウムを含めると合計56本の研究発表があり、例年に比べ発表者が大幅に増え盛会な研究大会となりました。今大会の発表の傾向としては、伝統的な外国語の専門大学である開催校の特徴にふさわしく留学生や外国籍会員の発表がその半数を占め、質疑応答では英語や中国語が飛び交うなど国際教育学会らしさを表出した研究大会になりました。東京外国語大学の皆様にはこの場を借りて厚く御礼申し上げます。また、本大会の効果かも知れませんが、会員数も昨年の大会時より41名増えて8月末現在で243名と飛躍的に伸びました。この数字に安堵することなく来年の研究大会までには会員数300名達成を密かに心のマニフェストにして会員獲得に向けて鋭意努力して参りたいと思っております。
本大会が20周年記念事業の重要なイベントであることは申すまでもありませんが、20周年記念事業のもうひとつの柱は20周年記念年報の発行であります。これにつきましても2010年4月に学文社からの発刊を目指し、目下、編集作業に取り組んでおります。表題につきましては、本大会のテーマと連動させ「国際教育学の展開と多文化共生」とし、大会の内容を反映させた年報にしたいと考えております。また、今後は5周年毎の定期刊行物として紀要とともに学会のもう一つの顔として定着させていくことも念頭においております。多くの会員の皆様にご高覧いただき、ご批判ご叱声を賜れば幸甚です。
また、2010年9月の研究大会は牛渡淳・大迫章史の両理事がお引き受け下さり、仙台白百合女子大学での開催となりました。両理事には誠に感謝申し上げます。仙台白百合女子大学には教育系・国際系の学科があり、本学会の研究大会を開催するための好条件が備わっております。また、東北地区には多くの会員がおり、数多の研鑽を積んだ会員の研究発表も期待できます。仙台大会は次の25周年に向けて新たな一歩を踏み出す意味でも重要な大会です。是非多くの会員の皆様にご参加いただき、研究大会を成功裏に収めますようご協力・ご支援を賜りますようお願い申し上げます。
第19回大会を終えて
前田 耕司(早稲田大学)
学会員の皆様におかれましては何かとご繁忙にもかかわらず、全国各地から日本国際教育学会第19回大会にご参集いただきまして深く感謝申し上げます。
また、遠路はるばる中国からお越し下さいました中国比較教育学会副会長の孫啓林先生、並びに中国東北師範大学国際與比較教育研究所教授の張徳偉先生、同じく同大学の谷峪先生には学会員を代表して心より御礼申し上げます。
第19回大会は10月15日・16日の2日間で81名の参加者を得て盛会のうちに幕を下ろすことができました。大会施設の提供およびシンポジウムの企画等においてご尽力下さった宮崎里司大会実行委員長、また大会開催の準備等でお骨折りをいただいた佐藤隆之事務局長をはじめ関係各位にこの場をお借りして心からお礼と感謝の言葉を述べたいと思います。
さて、日本国際教育学会は1990年に設立されましたが、本年で創設20周年を迎えます。まだまだ若い学会と思われてきた本学会も人間でいえば二十歳の成人となるわけで、これを機にさらなる飛躍に向けて新たな第一歩を踏み出すことになります。
このような学会の節目となる重要な時期に会長という大役を仰せつかり、舵取り役としての責任の重大さに身の引き締まる思いを新たに感じております。
これまで会長職を務めてみえた先輩諸氏と比べ、学問的知見・指導力ともにまだまだ未熟とは思いますが、会員の皆様方のご期待に沿うべく誠実に取り組んで参る所存です。何卒よろしくご支援・ご教導を賜りますようお願い申し上げます。
おかげ様で、20周年目の春季大会はロバート・アスピノール理事のご尽力により4月25日に滋賀大学で、また、秋の20周年記念大会は9月12日・13日に、岡田昭人副会長がご在職の東京外国語大学で開催されることがすでに決定いたしております。
第20回大会をどのような記念すべき大会にするかについては会員の皆様方のご意見や開催校のお考えも踏まえながら検討させていただきたいと思っております。いずれにしても日本国際教育学会らしい特色がでるような研究大会にと願っております。
記念大会に向けてご提案・ご要望等がありましたら事務局のほうにお寄せいただければ幸甚です。
いま私は、日本国際教育学会らしい特色と申しましたが、改めて、本学会のアイデンティティーとは何か、また国際系の他の類似学会との差別化をどのように図っていくのかについて考えてみることにしました。
一言でいえば本学会の組織そのものが国際的であるということです。それは、学会の草創期から理事のおよそ半数が在日の外国籍会員であり、学会運営における方針の決定や意思決定に多様な文化的背景をもつ外国籍会員の参画の機会が保障されているといった点からもおわかりだと思います。
そして、そのことは本学会が他の教育学系の学会と大きく異なる点でもあるわけです。
今後は、こうした本学会独自の持ち味を国際教育学を志す若い研究者にどのようにして知らしめ、さらにはその国際性豊かな会の魅力を新入会員の獲得にどうつなげていくのかが本学会の次の時代に向けての課題のひとつであると考えます。
もう一つの課題としては、学会として新規のプロジェクト、たとえば会員提案型のプロジェクト研究をどのように立ち上げていくのかも検討課題であります。19回大会では海外の研究者との共同研究の成果をご報告いただく機会を新たに設けました。
国際教育研究の潮流は、いまや研究成果の国際社会への発信、および研究の国際的な交流をどのように推進していくかに関わってきております。今回のプロジェクト研究での成果はもとより、こうした研究を20周年記念事業にどのように結び付け、さらにどう発展させていくのかは本学会にとっても喫緊の課題であるといえるでしょう。
最後に、春・秋の研究大会および20周年記念事業を成功裏に収めるためにも是非とも会員の皆様方多数のご参加・ご賛同を期待する次第です。